【読書感想】『まどろみの星たち』菰野江名|24時間の夜間保育園が舞台。本屋大賞に推したい1冊(ネタバレなし)

はじめに:夜の保育園を描いた『まどろみの星たち』を読み終えました
こんにちは、キリュウです。菰野江名さんの小説『まどろみの星たち』を読み終えたので、感想をまとめます。
舞台は、新宿にある24時間営業の夜間保育園。夜に働く親たちと、子どもたちに寄り添う保育士たちの物語です。
この記事でわかること:
- 『まどろみの星たち』と出会ったきっかけ(大阪「読の市」でのエピソード)
- 本の基本情報と、ネタバレなしの作品紹介
- 読んで心に残ったポイント
- この本をおすすめしたい人
※結末やストーリーの核心には触れていません。これから読む方も安心してどうぞ。
出会いは大阪駅「第2回 読の市」の推し本シェアブース
この本との出会いは、大阪駅5階「時空(とき)の広場」で開催された「第2回 読の市(よみのいち)」でした。開催日は10月17日(土)・18日(日)、入場無料の本のマルシェです。
会場には書店や出版社のブースがずらりと並び、人工芝の広場に本棚が立ち並ぶ光景はそれだけでワクワクしました。

なかでも立ち寄ったのが「SNS発信者6人の推し本シェア」ブース。本好きの発信者さんたちが、それぞれの推し本を並べて紹介してくれるコーナーです。

そこで書店員のまおまおさんが「本屋大賞にお勧めしたい」と紹介していたのが『まどろみの星たち』でした。書店員まおまおさんが本屋大賞に推したいと言うなら間違いない。そう思って、その場で購入しました。

作り手や読み手と直接話しながら本を選べるのは、ネット書店にはないイベントならではの魅力ですね。
『まどろみの星たち』の基本情報とあらすじ(ネタバレなし)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | まどろみの星たち |
| 著者 | 菰野江名(こもの・えな) |
| 出版社 | ポプラ社 |
| 発売 | 2026年3月 |
| 定価 | 1,980円(税込) |
| ジャンル | 小説(夜間保育園が舞台のヒューマンドラマ) |

主人公は、24時間体制の夜間保育園で働く保育士の文乃。深夜手当で働く在日外国人、夜の仕事をするシングルマザーなど、夜に働かなければならない家庭が登場します。事情を抱えながら懸命に生きる親子に、文乃が保育士としてどう向き合っていくのかが描かれます。
著者の菰野江名さんは、『つぎはぐ、さんかく』で第11回ポプラ社小説新人賞を受賞してデビューした作家です。ご自身も子どもを保育園に預けて働く母親で、執筆にあたり都内の24時間体制の保育園を取材したそうです。
帯には中脇初枝さん、町田そのこさんの推薦コメントも寄せられています。
感想①:新宿の24時間保育園の様子と人間模様が面白い
まず面白かったのは、新宿にある24時間営業の保育園の日常そのものです。
「夜も子どもを預かる保育園」があることは知っていても、中で何が起きているかは想像したことがありませんでした。夕方に登園してくる子、夜中に迎えが来る子、朝まで眠る子。昼間の保育園とは違う時間の流れが、とてもリアルに描かれています。
そして何より、登場する人たちの人間模様が魅力です。夜に働く親たちにはそれぞれの事情があって、簡単に「正しい・間違っている」と言えない。その親子に保育士たちがどう寄り添うのか、ページをめくる手が止まりませんでした。
僕たちが夜にコンビニへ行けたり、電車が動いていたりするのも、夜に働く誰かがいるからこそ。そしてその人たちにも子どもがいる。当たり前なのに見えていなかったことに気づかされました。
感想②:「つづきの保育園」の由来と不思議な縁が心に残った
一番心に残ったのは、文乃先生が働く「つづきの保育園」の由来と、そこにつながる不思議な縁です。
詳しく書くとネタバレになるので控えますが、保育園の名前に込められた想いを知ったとき、物語全体の見え方が変わりました。人と人とのつながりが、時間を越えて誰かを支えている。そんな温かさを感じる展開です。
帯にある「だれも、ひとりでは大きくなれなかった」という言葉の意味が、読み終えたあとにじんわり沁みてきます。ここはぜひ、実際に読んで確かめてほしいポイントです。
感想③:「事故は容易に起きる」――仕事中のヒヤリハットと重なった一文
個人的に一番グッときたのは、259ページ、かみつれ組・眞栄城成也の章の一節です。
何か一つのボタンを掛け違っただけで、事故は容易に起きる。 (菰野江名『まどろみの星たち』ポプラ社、259ページ)
子どもの事故を防ぐための家庭での決まりごとが並べられたあとに、この一文が続きます。どの家庭も気をつけてはいる。それでも、すべてを完璧に守り続けるのは難しい。その現実が静かに突きつけられる場面でした。
この一文が刺さったのには理由があります。実はつい最近、工場での仕事中に踏み台に上って作業していたとき、バランスを崩して落ちてしまったんです。幸い大きな怪我はありませんでしたが、一歩間違えれば大怪我につながるヒヤリハットでした。
どれだけ注意していても、事故はほんの一瞬で起きる。それを身をもって実感したばかりだったので、この言葉は他人事とは思えませんでした。子どもを預かる保育士さんたちが、毎日どれほどの緊張感の中で働いているのか。その重みも、改めて感じさせられました。
『まどろみの星たち』はこんな人におすすめ
- 子育てをしながら働いている人
- 保育士さんや、保育の仕事に興味がある人
- 人と人とのつながりを描いた温かい物語が好きな人
- 町田そのこさんや中脇初枝さんの作品が好きな人
- 次の本屋大賞候補になりそうな作品を先取りしたい人
まとめ:本屋大賞に推したくなる、夜を照らす温かい物語
『まどろみの星たち』は、新宿の24時間保育園を舞台に、夜に懸命に生きる親子と保育士たちを描いた物語でした。施設のリアルな日常と人間模様、そして「つづきの保育園」に込められた縁。読み終えたあと、優しい気持ちになれる一冊です。
読の市で書店員のまおまおさんに出会えなければ、手に取らなかったかもしれません。本との出会いもまた、不思議な縁ですね。来年の本屋大賞でこの本の名前が挙がるのを、楽しみに待ちたいと思います。













